【最大約313万件】防災メール配信「SpeeCAN RAIDEN」に不正アクセス|公表内容と考察

防災メール配信サービスSpeeCAN RAIDENへの不正アクセスを示す盾のアイキャッチ テック・AI

自治体の防災メールなどを一斉配信するクラウドサービス「SpeeCAN RAIDEN(スピーキャン・ライデン)」が第三者による不正アクセスを受け、登録者の個人情報が漏えいした可能性があると、運営元の株式会社アルカディア(大阪府箕面市)が2026年10月13日に公表しました。漏えいの可能性がある件数は、推定で最大メールアドレス約313万6,000件、電話番号約10万5,000件、FAX番号約1万5,000件です。

住民が登録するのは「〇〇市安全メール」のような自治体側のサービス名なので、自分が対象かどうかに気づきにくい事案です。この記事では、アルカディアと自治体の公式発表をもとに公表内容を整理し、登録者が注意したい点と、筆者の考察をまとめます。

公表内容:メールアドレス最大約313万件と配信履歴の本文が対象

項目公表内容(10月13日18時47分更新時点)
漏えいした可能性がある情報SpeeCAN RAIDENに登録されている連絡先・担当者・契約者の情報(名前、メールアドレス、電話・FAX番号)、配信履歴に保存されている本文
件数(最大・推定値)メールアドレス約313万6,000件、電話番号約10万5,000件、FAX番号約1万5,000件
対象となるサービス環境raiden.ktaiwork.jp、raiden2.ktaiwork.jp、raiden3.ktaiwork.jp、raiden2.speecan.jp、s.ktaiwork.jp、s2.ktaiwork.jp
対象外の情報クレジットカードなどの決済情報(サービスで扱っていないため)
原因第三者による不正アクセス(手口は非公表)

件数はあくまで推定値で、アルカディアは調査を続けているとしています。最初に出たPDFの公表文では、対象項目は「連絡先データ・担当者・契約者情報」でした。同日夕方に更新された公式ブログで「配信履歴にある本文」が加わっています。

発覚から緊急停止までの経緯

日時できごと
10月11日(日)16時30分不正アクセスが疑われる不審な挙動を確認
10月12日(月・祝)3時ごろ侵入経路をふさぐ応急措置を実施し、影響範囲の調査を開始
10月13日(火)個人情報漏えいの可能性を公表
10月13日(火)11時侵入経路となったサービス(SpeeCAN RAIDENのraiden3.ktaiwork.jp、ライデン・スクールのs2.ktaiwork.jp)を緊急停止。復旧日時は未定
10月13日(火)18時47分侵入経路の判明、不正アクセス元IPアドレスの遮断、最大件数を公表

停止していないサービスについては、サーバーを点検し、不正なプログラムが設定されていないことを確認したとしています。

SpeeCAN RAIDENとは:自治体が住民に災害情報を届けるための配信基盤

アルカディアの会社概要によると、SpeeCAN RAIDENは、災害情報などをメール・電話・FAX・SNS・緊急速報メール・防災アプリ・防災行政無線へ一斉に発信できるサービスです。J-ALERTや気象情報との連携にも対応しています。同社のクラウドサービスは、地方自治体や官公庁を中心に2,000件以上で使われているとされています(この件数はSpeeCAN RAIDEN単体ではなく、同社のサービス全体の数字です)。

住民の目に触れるのは、自治体ごとの名前がついた配信サービスです。たとえば箕面市は、市民安全メールの配信にSpeeCAN RAIDENを使っていると公表しています。今回の停止にともない、市民安全メールと防災アプリ「ハザードン」による市からのお知らせ配信が止まっているとのことです。

登録者が注意したいこと

自分が登録している自治体のお知らせを確認する

アルカディアの公表文には、どの自治体が影響を受けたかの一覧はありません。防災メールや安全メールなどに登録している人は、その自治体の公式サイトで、配信停止や不正アクセスに関するお知らせが出ていないか確認してください。

自治体や防災情報を装うメールのリンクから入力しない

漏えいの可能性があるのは、住民が防災情報を受け取るために登録したメールアドレスです。悪用されるとすれば、「避難情報」「登録情報の確認」「配信再開の手続き」などを名目にしたメールが考えられます(筆者の想定です)。自治体からの通知を待っている時期だけに、本物らしく見えやすい点が厄介です。

メール内のリンクから氏名やパスワード、カード情報を入力するのは避け、配信の再開や再登録の案内は自治体の公式サイトから確かめるのが確実です。

配信が止まっている間の情報源を用意しておく

raiden3.ktaiwork.jpを使う自治体では、配信が止まっており、復旧日時も決まっていません。防災メールだけに頼っていた人は、自治体の公式サイトやSNS、テレビ・ラジオ、気象庁の情報など、ほかの入手先を確保しておくと安心です。

考察:漏れたのは「名簿」だけではない

筆者がまず気になったのは、配信履歴の本文が対象に加わった点です。防災メールの本文は住民向けの公開情報が多いはずですが、SpeeCAN RAIDENの導入案内には、登録対象として住民のほか職員・自治会長・要配慮者が挙げられています。自治体の使い方によっては、職員の参集連絡など外に出る前提ではない文面が履歴に残っていた可能性もあります。何が含まれていたかは自治体ごとに違うため、利用している自治体からの続報を待つ必要があります。

次に、メールアドレスの件数の重さです。約313万件のアドレスの多くは、「特定の地域に住み、防災情報を受け取りたい人」のものと考えられます。地域名を入れた偽の避難情報は、一般的な詐欺メールよりも開かれやすいと筆者は考えます。

もう一つ、公表文では触れられていないことがあります。一斉配信の基盤が侵入された以上、配信機能そのものが悪用されなかったかは、住民にとって情報漏えいと同じくらい重要です。偽の情報が自治体の正規アカウントから送られれば、見分ける手段はほぼありません。アルカディアの公表文には、配信機能の不正利用の有無について記載がなく、続報で触れられるかどうかに注目しています。

対応のスピードについては、不審な挙動の確認から約10時間半で応急措置をとり、祝日をはさんで2日後には公表しています。一方で、12日未明の応急措置のあと、13日の調査で改めて「侵入経路が判明した」として停止に踏み切っています。最初の措置では経路を特定しきれていなかったと読むこともできますが、これは公表文の流れからの筆者の推測で、アルカディアは詳細を明らかにしていません。

今回は、1社の配信基盤への侵入が、それを使う多くの自治体の住民に一度に及ぶ構図です。10月に入ってからも、委託先やデータセンター事業者への不正アクセスが、利用企業の顧客情報の漏えいにつながる事案が続いています。住民の側でできるのは、「どこから漏れたか」を気にするより、メールやSMSのリンクから入力しない習慣を徹底することです。

まとめ

  • 自治体向け一斉配信サービス「SpeeCAN RAIDEN」に不正アクセス。最大でメールアドレス約313万6,000件、電話番号約10万5,000件、FAX番号約1万5,000件が漏えいした可能性がある(推定値)
  • 対象は登録者・担当者・契約者の連絡先と、配信履歴の本文。決済情報は扱っていないため対象外
  • 侵入経路となったraiden3.ktaiwork.jpとs2.ktaiwork.jpは10月13日11時から停止中で、復旧日時は未定
  • 登録者は、自治体の公式サイトでお知らせを確認し、自治体や防災情報を装うメールのリンクから入力しないよう注意する

アルカディアは調査を続けており、件数や影響範囲は今後変わる可能性があります。最新の情報はアルカディアの公式発表と、登録している自治体のお知らせで確認してください。

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出典:株式会社アルカディア「SpeeCAN RAIDEN への不正アクセスによる個人情報漏洩の可能性について」(2026年10月13日)
元記事URL:https://www.arcadia.co.jp/wp-content/uploads/2026/10/20261012_SpeeCANRAIDEN_cyberattack.pdf

参考情報(いずれも2026年10月13日確認)
SpeeCAN RAIDEN公式ブログ「SpeeCAN RAIDENへの不正アクセスによる個人情報漏洩の可能性について」:https://raiden.site.ktaiwork.jp/archives/4597
SpeeCAN RAIDEN公式ブログ「不正アクセスに伴う一部サービスの緊急停止について」:https://raiden.site.ktaiwork.jp/archives/4601
株式会社アルカディア「会社概要」:https://www.arcadia.co.jp/outline
箕面市「防災情報配信サービスの緊急停止について」:https://www.city.minoh.lg.jp/speecanraiden.html
SpeeCAN RAIDEN公式ブログ「導入について」:https://raiden.site.ktaiwork.jp/introduction

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