2026年8月6日、株式会社ジェーシービー(JCB)とトレンドマイクロ株式会社が、JCBカード会員専用WEBサービス「MyJCB」のスマートフォンアプリに、生成AIによる詐欺判定機能「トレンドマイクロ 詐欺チェック」へのアクセス導線を新設したと発表しました。同日より常時利用できます。
2025年8月から2度にわたって行われた実証実験を経て、恒常提供へと切り替わった格好です。この記事では、何ができる機能なのか、なぜいま常設されたのか、そしてJCBカード利用者が具体的に何をすればよいのかを整理します。
発表の要点を先に整理
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2026年8月6日 |
| 発表元 | 株式会社ジェーシービー/トレンドマイクロ株式会社 |
| 内容 | MyJCBアプリに「トレンドマイクロ 詐欺チェック」へのアクセス導線を新設 |
| 提供開始 | 2026年8月6日(発表当日)より常時アクセス・利用可能 |
| 対象 | MyJCBアプリの利用者 |
| 位置づけ | 2025年8月20日に発表された両社協業の第二弾(第一弾は実証実験) |
背景:フィッシング報告は2025年に約245万件と過去最多
今回の常設提供の背景には、フィッシング詐欺の急増があります。プレスリリースによると、国内のフィッシング報告件数は2025年に過去最多となる約245万件(前年比約1.43倍)を記録し、2026年に入っても高止まり傾向が続いています。フィッシング対策協議会「フィッシングレポート2026」(2026年6月1日)などをもとにした数値です。
さらに、クレジットカード・信販分野は標的とされる割合が最も高い分野の一つとされ、同協議会の2026年5月の月次報告では分野別で最多の約47.8%を占めたとされています。カード会社を装ったフィッシングが、そのままカード情報の窃取・不正利用につながる構図です。
一方、クレジットカードの不正利用被害額は次のように推移しています。
| 年 | クレジットカード不正利用被害額 |
|---|---|
| 2024年 | 555.0億円 |
| 2025年 | 510.5億円 |
2025年は前年から減少したものの、依然として高い水準が続いているとされています(日本クレジット協会「クレジットカード不正利用被害額調査」より)。被害額が減少に転じてもフィッシング報告件数は増え続けている、という点が今回の施策の温度感を表しているように見えます。
「詐欺チェック」で何ができるのか
「詐欺チェック」は、怪しいと感じたコンテンツをその場でAIに判定させる機能です。判定に使えるのは主に次の2通りの入力です。
- スクリーンショットを送信して判定:メール、SMS/MMS、SNSなどのメッセージ、Webサイト、オンライン広告などの画面キャプチャを送ると、詐欺の兆候が含まれていないかを生成AIが分析・判定します。
- 情報を入力して判定:疑わしいリンク(URL)、メールアドレス、電話番号などを入力し、その情報に詐欺の可能性がないかをチェックできます。
詐欺の懸念がある場合は、推奨する対策も提案されます。判定のロジックには、トレンドマイクロの脅威に関するデータベースと詐欺コンテンツの特徴が活用され、生成AIが詐欺の判定とセキュリティリスクへの対応方法を出力する仕組みとされています。
利用の流れは3ステップ
- MyJCBアプリ内の「詐欺チェック」をタップする
- 疑わしいコンテンツ(スクリーンショットやURLなど)を送信して確認する
- 診断結果と、その結果に関する詳細の解説を受け取る
なお本機能は、トレンドマイクロがスマホ向けに提供する詐欺対策専用アプリ「トレンドマイクロ 詐欺バスター」の詐欺チェック機能と同等の機能とされています(動画リンクの詐欺チェック機能は除く)。専用アプリを別途入れずに、日常的に開くMyJCBアプリから同等のチェックに到達できる点が今回の要点です。
実証実験から常設化までの経緯
今回の常設提供は、いきなり始まったものではありません。両社は2025年8月20日に不正対策強化に向けた協業を発表し、その第一弾としてMyJCBアプリの一部利用者を対象に実証実験を実施していました。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2025年8月20日 | 両社が不正対策強化に向けた協業を発表 |
| 2025年8月20日〜11月19日 | 実証実験(第1回) |
| 2025年12月12日〜2026年2月28日 | 実証実験(第2回) |
| 2026年8月6日 | 第二弾として「詐欺チェック」を常設提供 |
実証実験期間中は延べ6,000名以上のJCBカード会員が本機能を利用したとされ、「詐欺メールだと確認できて良かった」「開いてもいいメールなのか確認できるのが良かった」といった声が寄せられたと紹介されています。この実績・結果を踏まえて恒常提供に移行した、という流れです。
注意しておきたいポイント
- すべての詐欺を防げるわけではない:プレスリリースにも、本機能ですべての詐欺から保護できるわけではないと明記されています。AIの判定は「安全側に寄せた最終判断」ではなく、あくまで判断材料の1つとして扱うのが妥当です。
- あくまで「アクセス導線の新設」:今回発表されたのは、MyJCBアプリからトレンドマイクロの詐欺チェック機能へ常時アクセスできる導線の新設です。機能の実体はトレンドマイクロ側の提供によるものと理解しておくとよいでしょう。
- スクリーンショットを外部に送る前提の機能:判定にはコンテンツを送信する必要があります。業務メールや第三者の個人情報が写り込んだ画面を送る場合は、社内規程やプライバシーの観点も確認しておきたいところです。
- 利用条件・費用の詳細は公式案内で確認:プレスリリースには利用料金や対象OS・バージョンの詳細な条件は明記されていません。断定は避け、MyJCBアプリ内の案内やJCB公式サイトで確認するのが確実です。
JCBカード利用者が今やっておくとよいこと
1. MyJCBアプリを最新版に更新して導線を確認する
まずはMyJCBアプリをアップデートし、アプリ内に「詐欺チェック」の入口があるかを確認しておきます。実際に困ってから探すのではなく、「どこをタップすればよいか」を平常時に把握しておくことが、使えるかどうかの分かれ目になります。
2. 疑わしいメール・SMSは「開く前」に判定させる習慣をつける
カード会社を装ったフィッシングは、リンクを開いた時点で被害の入口に立ちます。少しでも違和感があれば、リンクを開かずにスクリーンショットやURL文字列だけを詐欺チェックにかける、という順番を徹底するのが効果的です。
3. 不正使用検知のPUSH通知をオンにしておく
MyJCBアプリには、直近の利用状況のグラフ表示、明細の並び替えやキーワード検索・集計、不正使用検知に関するPUSH通知といった機能があります。詐欺チェックが「入口の防御」なら、PUSH通知は「万一抜けられたときの早期検知」です。両方を有効にしておくのが現実的な備えになります。
4. 家族のスマホでも同じ確認手段を用意する
フィッシングの被害は、判断に迷ったときに相談先がないことで広がります。家族カードの利用者や、ITに詳しくない家族のスマホにもMyJCBアプリを入れ、「怪しいと思ったらここで確認する」という共通ルールを決めておくと、家庭内の防御力が上がります。
まとめ
- 2026年8月6日、JCBとトレンドマイクロがMyJCBアプリに生成AIによる「詐欺チェック」機能へのアクセス導線を新設し、同日より常時利用可能になりました。
- スクリーンショットやURL・メールアドレス・電話番号を送ると、生成AIが詐欺の兆候を判定し、推奨対策を提案します。
- 背景には、2025年に約245万件(前年比約1.43倍)と過去最多を記録したフィッシング報告件数と、2025年で510.5億円というカード不正利用被害額があります。
- 2025年8月からの2度の実証実験(延べ6,000名以上が利用)を経た常設化で、すべての詐欺を防げるわけではない点は前提として押さえておく必要があります。
「AIによる詐欺判定」が、セキュリティ製品の側ではなくカード会社のアプリ側に常設されたという点は、フィッシング対策が特別な備えから日常の動線へ移りつつあることを示しているように思います。まずはMyJCBアプリを開いて、入口の場所を確認してみてください。
出典:株式会社ジェーシービー・トレンドマイクロ株式会社 共同プレスリリース(2026年8月6日)
元記事URL:https://www.global.jcb/ja/press/2026/202608061300_card.pdf
本記事は2026年8月6日付のプレスリリースをもとに作成しています。記載内容は今後変更される可能性があるため、最新の情報はMyJCBアプリ内の案内およびJCB公式サイトでご確認ください。

コメント