2026年9月24日、複数の銀行が不正送金や詐欺被害を防ぐための対策を発表しました。暗号資産交換業者あての振込制限、インターネットバンキングの監視強化、生体認証の導入、デビットカードの利用限度額の見直しなど、内容は銀行ごとに異なります。
どれも「普段どおりの操作が制限される」「手続きが必要になる」可能性がある変更です。本記事では各行の公式発表をもとに、変更点と利用者が気をつける点を整理します。
各行の対策一覧
| 銀行 | 内容 | 開始・実施日 |
|---|---|---|
| 京葉銀行 | 暗号資産交換業者・資金移動業者の口座あて振込を一部制限 | 2026年10月1日(木) |
| 武蔵野銀行 | 「むさしのダイレクト」の振込等のモニタリング強化(取引制限・利用停止の場合あり) | 2026年9月24日発表 |
| 武蔵野銀行 | アプリのログインに届出電話番号による認証を追加(利用規定改定) | 2026年9月30日 |
| 大和ネクスト銀行 | 重要な取引時の生体認証を導入 | 2026年10月26日(月) |
| 岩手銀行 | デビットカードの利用限度額を統一(ショッピングは最大100万円) | 2026年9月20日(日)変更済み |
| 但馬銀行 | 2年以上利用のないインターネットバンキング契約を解除 | 2026年10月26日〜30日に順次 |
| 愛媛銀行 | 「ひめぎんアプリ」にマイナンバーカードの公的個人認証を導入 | 2026年9月28日(月) |
京葉銀行:暗号資産交換業者・資金移動業者あての振込を制限
京葉銀行は2026年10月1日(木)から、暗号資産交換業者と資金移動業者の預金口座あての振込を一部制限します。特殊詐欺などの被害金が、これらの業者の口座あてに送金される事例が増えているためです。
口座からの振込:依頼人名に口座名義が含まれない場合は不可
振込依頼人名を送金元の口座名義から変更した取引が制限されます。公式発表の例は次のとおりです(口座名義が「ケイヨウ ハナコ」の場合)。
| 振込依頼人名 | 可否 |
|---|---|
| ケイヨウ ハナコ | 可能 |
| ケイヨウ ハナコ 123 | 可能 |
| ケイヨウ タロウ | 不可 |
| チバケン ハナコ | 不可 |
| ハナコ ケイヨウ | 不可 |
| KEIYO HANAKO | 不可 |
名義の後ろに数字などを付け足すのは認められますが、姓名の順番を入れ替えたりローマ字表記にしたりすると振り込めません。暗号資産取引所などへの入金で、依頼人名の前後に指定コードを入れるよう求められている人は、10月以降の入金方法を事前に確認してください。
現金による振込は取扱停止
暗号資産交換業者・資金移動業者の口座あての現金による振込は取り扱わなくなります。
武蔵野銀行:モニタリング強化とアプリの電話番号認証
武蔵野銀行は、同行をかたる偽メールやSMSで偽サイトに誘導し、情報をだまし取って不正送金する手口が確認されているとして、インターネットバンキング「むさしのダイレクト」の振込等のモニタリングを強化しています。
- 疑わしい取引と判断されると、取引の制限や「むさしのダイレクト」の利用停止が行われることがある
- 本人による正当な操作でも、制限・停止の対象になることがある
- 身に覚えのない取引がある場合や、操作していないのに利用停止になっている場合は、インターネット・ヘルプデスク(0120-44-6340、平日9:00〜17:00)へ至急連絡する
あわせて、2026年9月30日から「武蔵野銀行アプリ」のログイン時に届出電話番号による認証が追加されます(アプリ利用規定の改定)。届出の電話番号が古いままの人は、ログインに支障が出るおそれがあります。登録内容を確認しておくと安心です。
大和ネクスト銀行:重要取引で生体認証を導入
大和ネクスト銀行は2026年10月26日(月)から、重要な取引の際に生体認証(指紋・顔など)を導入します。あわせて「銀行取引約款」と「大和ネクスト銀行スマートフォンアプリ約款」を改定します。
- 個人の場合、新規口座への振込は、大和証券の口座の有無にかかわらず生体認証の対象
- このほか、振込限度額の引き上げ、取引パスワードの再登録、お客さま情報の変更も対象取引として挙げられている(大和証券口座の有無などで扱いが分かれる。詳細は公式ページの表で確認)
- 生体認証の利用は必須ではない。お取引カードの認証番号表による認証も引き続き使え、お取引カードの再発行もできる
岩手銀行:デビットカードの利用限度額を統一
岩手銀行は不正利用被害を防ぐため、「いわぎんデビットカードSakuSaku!」の一部利用者の利用限度額を統一しました。変更日は2026年9月20日(日)で、すでに実施されています。
| 区分 | 初期設定額(1回/1日/1ヵ月) | 変更可能な範囲(1回/1日/1ヵ月) |
|---|---|---|
| 国内ショッピング | 50万円/50万円/100万円 | 0〜100万円(各区分) |
| 海外ショッピング | 50万円/50万円/100万円 | 0〜100万円(各区分) |
| 海外ATM利用 | 10万円/10万円/30万円 | 0〜10万円/0〜10万円/0〜100万円 |
国内・海外ショッピングの限度額は、1回・1日・1ヵ月とも最大100万円になりました(100万円以下に設定している項目は変わりません)。引き上げを希望する場合は、クレジットカードセンター(0120-120-086、平日9:00〜17:00)へ連絡します。高額の買い物を予定している人は、決済前に限度額を確認してください。
但馬銀行:長期間使っていないネットバンキング契約を解除
但馬銀行は、セキュリティ強化の一環として、2026年8月末時点で2年以上利用のない「たんぎんインターネットバンキングサービス」の契約を解除します。解除は10月26日(月)から10月30日(金)にかけて順次行われます。
解除後に再び使いたい場合は、「たんぎんインターネットバンキング ライトサービス」から申し込み直す必要があります。
愛媛銀行:アプリにマイナンバーカードの公的個人認証を導入
愛媛銀行は2026年9月28日(月)から、「ひめぎんアプリ」にマイナンバーカードを使った公的個人認証サービスを導入します。ICチップの電子証明書の情報(氏名・住所・生年月日など)を使って本人確認をするため、入力の手間が減るとしています。
- マイナンバーカードとNFC機能付きスマートフォンが必要
- 署名用電子証明書が有効で、その暗証番号を把握していること
- ICチップに記録された情報が最新であること(転居後に住所変更をしていない場合などは要確認)
- アプリを最新バージョンにアップデートする必要がある
利用者が注意したいこと
「正しい操作でも止まる」ことを前提に準備する
武蔵野銀行のモニタリング強化や京葉銀行の振込制限のように、対策が強化されると、本人の正当な操作でも取引が止まることがあります。急ぎの振込は余裕をもって行い、止まったときの問い合わせ先を控えておきましょう。
登録情報を最新にしておく
電話番号認証や公的個人認証は、銀行に届け出た電話番号やマイナンバーカードの情報が最新であることが前提です。機種変更や転居のあとは、登録内容を見直してください。
銀行を名乗る連絡には応じない
今回の対策の背景には、銀行やカード会社を装ったメール・SMSによるフィッシングがあります。メールやSMSのリンクからログインせず、公式アプリやブックマークからアクセスする習慣をつけましょう。不正アプリを使った手口はこちらの記事で解説しています。
考察:銀行の詐欺対策は「利便性を一部削る」段階へ
今回の発表に共通するのは、利便性を一部削ってでも被害を防ぐ方向に踏み込んでいる点です。振込依頼人名の変更を認めない、疑わしい取引は本人の操作でも止める、長く使っていない契約は解除する、といった措置です。特に暗号資産交換業者や資金移動業者あての送金は詐欺被害金の送り先になりやすく、同様の制限はほかの銀行にも広がる可能性があります。
利用者の側では、よく使う振込先や入金方法が今後制限の対象にならないかを把握しておくことが大切です。あわせて、生体認証や電話番号認証など、新しく加わる認証手段に早めに慣れておくとよいでしょう。
まとめ
- 京葉銀行:10月1日から暗号資産交換業者・資金移動業者あての振込を制限。依頼人名に口座名義が含まれない振込と、現金による振込は不可
- 武蔵野銀行:振込等のモニタリングを強化。9月30日からアプリのログインに電話番号認証を追加
- 大和ネクスト銀行:10月26日から重要取引で生体認証を導入(利用は任意)
- 岩手銀行:デビットカードの限度額を統一。ショッピングは最大100万円
- 但馬銀行:2年以上使っていないネットバンキング契約を10月26日〜30日に解除
- 愛媛銀行:9月28日からアプリでマイナンバーカードによる本人確認が可能に
各行の詳細と最新情報は、公式サイトで確認してください。
出典:京葉銀行「暗号資産交換業者および資金移動業者へのお振り込みの一部制限について」(2026年9月24日)
元記事URL:https://www.keiyobank.co.jp/othernews/2026/260924angou.pdf
出典:武蔵野銀行「セキュリティ強化のため、むさしのダイレクトの振込等を制限しインターネットバンキングを停止させていただく場合があります」(2026年9月24日)
元記事URL:https://www.musashinobank.co.jp/info/info_261002.html
出典:武蔵野銀行「「武蔵野銀行アプリ利用規定」改定のお知らせ」(2026年9月24日)
元記事URL:https://www.musashinobank.co.jp/info/info_260924.html
出典:大和ネクスト銀行「重要取引時の生体認証の導入および約款改定について」(2026年9月24日)
元記事URL:https://www.bank-daiwa.co.jp/info/2026/0924_01.html
出典:岩手銀行「「いわぎんデビットカードSakuSaku!」におけるご利用限度額の変更について」(2026年9月24日)
元記事URL:https://www.iwatebank.co.jp/assets/pdf/20260924_sakusaku.pdf
出典:但馬銀行「「たんぎんインターネットバンキングサービス」ご契約のお客さまへ 重要なお知らせ」(令和8年9月24日)
元記事URL:https://www.tajimabank.co.jp/news/release/news_release_20260924.pdf
出典:愛媛銀行「「ひめぎんアプリ」へのマイナンバーカードを活用した公的個人認証サービスの導入について」(2026年9月24日)
元記事URL:https://www.himegin.co.jp/news/20260924_2.html

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