【第5報】お名前.comデスクトップクラウド、攻撃者が5,000万ドル要求|社内で事前に課題指摘も対応遅れ

お名前.com デスクトップクラウドの第5報と、攻撃者による5,000万ドルの金銭要求を示す盾と南京錠のイラスト テック・AI

「お名前.com デスクトップクラウド」へのサイバー攻撃で、GMOインターネットグループ代表の熊谷正寿氏が10月25日、公式サイトのブログで経緯と考えを説明しました。GMOも同日、このブログの公開を公式のお知らせで告知しています。

ブログでは、攻撃者から5,000万ドル(約80億円)を要求されたこと(10月26日の追記)、社内のホワイトハッカーが事前に課題を指摘していたのに対応が間に合わなかったことが、初めて明らかにされました。この記事では、10月24日の第5報と、代表ブログの内容を整理します。補償や脅迫の全体像は第4報の記事をご覧ください。

新たに分かったこと

項目内容発表
攻撃者の金銭要求額5,000万ドル(約80億円)。要求文書の日時は2026年10月21日11時57分代表ブログ(10月26日追記)
支払いの有無要求には応じておらず、支払いも一切していない代表ブログ
防げなかった理由社内のホワイトハッカーが改善すべき課題を事前に指摘し、現場も対策を進めていたが、可用性への影響や優先順位を考慮した結果、対応の深さとスピードが足りず、その間隙を突かれた代表ブログ
費用負担補償、代替環境の提供、システム刷新などの費用はすべて自社の責任で引き受ける代表ブログ
調査体制グループのセキュリティ人材200名規模で防御とログ解析。裁判所を通じた開示請求の手続きにも着手代表ブログ
利用者への依頼自分の端末のフルスキャンとデータのバックアップを至急行う第5報(10月24日)

第5報:端末の確認とバックアップを「至急」

10月24日に出た第5報は、これまでのお願いを改めて示すものです。冒頭で、利用者自身のPCやスマートフォンについて、ウイルス対策ソフトでのフルスキャンとデータのバックアップを至急行うよう求めています。バックアップしたファイルの扱いにも注意するよう添えています。

取引ツールを使っていた人への依頼は、第3報と同じです。

  • 取引口座と取引ツール(MT4/MT5など)のパスワードを、FX取引に使っていない端末から変更する
  • ログイン中の全セッションを切断する。パスワード変更済みでも必ず行う
  • 取引履歴と残高を確認し、身に覚えのない取引があれば取引先にまず連絡する
  • 二段階認証を設定する
  • サーバー内やブラウザに保存していたID・パスワードも変更する
  • 攻撃者を名乗る者からの連絡には、URLやファイルを開かず返信もしない

GMOは、利用者の端末への影響も含めて調査中としており、端末の確認は二次被害を防ぐための予防的な対応だと説明しています。

代表ブログで語られたこと

お見舞金は「幕引き」ではない

熊谷氏は、「一律5,000円のお見舞金で幕引きにするつもりか」という懸念に対し、そうではないと述べています。お見舞金は初動の誠意の印であり、不正取引による損失はGMOインターネットが確認したうえで補償し、取引所などが返金に応じない場合も対象となる損失の全額を支払うとしています。

事前に指摘されていた課題

ブログでは、デスクトップクラウドのセキュリティについて、社内のホワイトハッカーから改善すべき課題が事前に現場へ指摘されていたことを明かしました。現場もその指摘を受け止めて対策を進めていましたが、サービスの可用性への影響やほかの対処事項との優先順位を考えながら慎重に進めた結果、対応の深さとスピードが十分ではなく、攻撃者にその間隙を突かれたと説明しています。

5,000万ドルの要求と、応じない方針

10月26日の追記で、脅迫の内容に「当社に対する5,000万ドル(約80億円)の金銭要求」が加わりました。要求文書の日時は10月21日11時57分としています。GMOは要求に応じておらず、支払いも一切行っていないと明記しています。

能動的サイバー防御の具申について

政府への能動的サイバー防御の適用要請に対しては、「GMOは法が定める特定社会基盤事業者ではない」「能動的サイバー防御は民間企業から言われて動くものではない」という指摘があることを認めたうえで、それを理解して具申したと述べています。自社の責任を国に転嫁する意図はなく、補償や代替環境、システム刷新の費用はすべて自社で負担するとしています。

また、グループのセキュリティ人材200名規模で防御とログ解析を進め、裁判所を通じた開示請求の手続きに着手するなど、攻撃者の足取りや通信ログの獲得に向けて動いているとしています。

問い合わせ先

公表内容から読み取れること(考察)

ここからは、公式発表と代表ブログをもとにした筆者の考察で、推測を含みます。

最も重い事実は、課題が事前に社内で指摘されていたことです。サービスの安定稼働と、セキュリティ対策を急ぐことの両立は多くの現場が抱える悩みですが、今回は指摘から対応完了までの間に攻撃を受けました。脆弱性の指摘を受けたあと、どの期限までに、どの程度直すかを決める仕組みが、運用の現場で十分に機能していなかった可能性があります。具体的な課題の中身は公表されていません。

要求文書の日時(10月21日11時57分)は、GMOが全サーバーの停止を始めた10月21日4時の数時間後です。GMOが不正なプログラムを確認したのは20日、脅迫が公表されたのは24日の第4報なので、要求を受けてから公表まで3日ほどあったことになります。

補償方針と調査体制は示されましたが、侵入経路や影響を受けたサーバーの実数は、第5報の時点でもまだ公表されていません。利用者にとっては、取引口座のセッション切断と端末の確認を今すぐ行い、補償の申請方法(11月6日までに案内予定)を待つのが現実的な対応です。

関連記事

お名前.comデスクトップクラウドに不正アクセス|約2.7万件に影響の可能性、全サーバー停止(第1報)
【第2報】お名前.comデスクトップクラウド、取引口座で不正操作の報告
【第4報】お名前.comデスクトップクラウド、全利用者に5,000円・不正取引は補償

まとめ

お名前.com デスクトップクラウドへのサイバー攻撃で、GMO代表のブログにより、攻撃者が5,000万ドル(約80億円)を要求していたこと、社内で事前に指摘されていた課題への対応が間に合わなかったことが明らかになりました。GMOは支払いに応じておらず、補償やシステム刷新の費用はすべて自社で負担するとしています。

利用者は、第5報のお願いに沿って、端末のフルスキャンとバックアップ、取引口座のパスワード変更と全セッションの切断を行ってください。お見舞金と代替サービスの案内は10月30日まで、補償の申請方法は11月6日までに届く予定です。

出典

出典:GMOインターネットグループ・GMOインターネット「「お名前.com デスクトップクラウド」ご利用のお客様へ改めてのお願い(第5報)」(2026年10月24日)
元記事URL:https://group.gmo/info/alert/2026102402/

出典:GMOインターネットグループ「「お名前.com デスクトップクラウド」への不正アクセスに関する代表ブログ公開について」(2026年10月25日)
元記事URL:https://group.gmo/info/alert/20261025/

出典:熊谷正寿 公式サイト「今こそ官民連携で日本を守ろう ――「能動的サイバー防御」を具申した理由」(2026年10月25日公開、10月26日追記)
元記事URL:https://www.kumagai.com/?eid=19600

コメント

タイトルとURLをコピーしました