バリ島の精神的な中心地、ウブド。熱帯雨林の緑とアユン川のせせらぎに包まれたこの地に、世界中の旅人が憧れる「聖域」が存在します。
その名は、『マンダパ・ア・リッツ・カールトン・リザーブ(Mandapa, a Ritz-Carlton Reserve)』。
マリオット・インターナショナルにおける最高峰ブランド「リッツ・カールトン」の中でも、さらに別格の扱いを受ける「リザーブ」ブランド。世界でも数えるほどしか存在しないこのホテルは、単なるラグジュアリーホテルではありません。
今回は、実際にこの「隠れ家(リザーブ)」に足を踏み入れた瞬間の感動から、専属バトラーによる極上のおもてなし、そして予約困難なレストランでのディナーまで、そのすべてを詳細にレポートします。
バリ島旅行を検討中の方、ハネムーン先を探している方、あるいは日々の喧騒を忘れて「何もしない贅沢」を求めている方は、ぜひ最後までご覧ください。
「リッツ・カールトン・リザーブ」とは?通常のリッツとの違い

まず、宿泊記に入る前にこのホテルの特別な立ち位置について触れておきましょう。
「リッツ・カールトン・リザーブ」は、通常のリッツ・カールトンとは一線を画します。世界中の秘境や特別な場所にのみ展開され、その土地の文化や自然環境と深く融合することをコンセプトにしています。
- ポイント: マリオット・ボンヴォイのポイント宿泊やエリート特典(アップグレードやラウンジアクセスなど)の適用範囲が、通常のホテルとは異なります(※最新の規約をご確認ください)。
- 規模: 客室数をあえて絞り、プライベート感を極限まで高めています。
- コンセプト: ホテルというよりは「個人の邸宅」に招かれたような親密さが魅力です。
ここマンダパも、サンスクリット語で「寺院」を意味する名の通り、村のような佇まいを持っています。
チェックイン:天空のロビーから見下ろす絶景

デンパサール空港から車で約90分。ウブドの深い森を抜けた先に、マンダパのエントランスはあります。
車を降りた瞬間、空気が変わりました。
「Welcome home」という温かい言葉と共に案内されたのは、壁のないオープンエアのロビー。そこから広がる景色に、思わず息を呑みます。
眼下には、手つかずの熱帯雨林、その合間を縫うように流れるアユン川、そしてホテル敷地内にある広大なライステラス(棚田)。
通常、ホテルの中に庭園があることはあっても、「本物の棚田」が敷地の中心にあるホテルなど聞いたことがありません。
ウェルカムドリンクとして提供されたのは、ウブドの伝統的なハーブドリンク「ロロ(Loloh)」。冷たく爽やかな味わいが、旅の疲れを一瞬で癒やしてくれます。
専属バトラー「パティ(Patih)」との出会い
マンダパにはフロントデスクで並んでチェックインするという概念はありません。
**「パティ(Patih)」**と呼ばれる専属のバトラーが、滞在中のすべてをケアしてくれます。
チェックインの手続きも、絶景を眺めながらソファでゆったりと。その後、バギーで客室へと案内してくれます。LINEやWhatsAppで24時間繋がれるため、「氷が欲しい」「レストランの予約時間を変えたい」といった要望も、指先一つで叶います。
客室:リザーブ・スイートでの至福の時間

マンダパには「スイート」と「ヴィラ」の2つのタイプがありますが、今回宿泊したのは**「リザーブ・スイート(Reserve Suite)」**。
最もベーシックなカテゴリーですが、広さはなんと100平米を超えます。
バリの伝統とモダンの融合
部屋に入ると、木をふんだんに使った温かみのあるインテリアが迎えてくれます。
壁にはバリの伝統的な絵画が描かれており、天井は高く、開放感は抜群。ベッドリネンは驚くほど滑らかで、一度横たわると起き上がりたくなくなるほどの心地よさです。
圧倒的なバスルーム
特筆すべきはバスルームの美しさです。
部屋の中央に鎮座するバスタブは、大人が足を伸ばしても余るほどのサイズ。窓を開け放てば、ジャングルの緑と一体化しながらバスタイムを楽しめます。
- アメニティ: マンダパオリジナルの製品。柑橘系とスパイスが混ざり合ったような、ウブドらしい香りが特徴です。
- ダブルシンク: もちろん洗面台は2つ。朝の支度もストレスフリーです。
- TOTO製トイレ: 日本人には嬉しい、最新のウォシュレット完備。海外ホテル特有のストレスは皆無です。
テラスからの眺め
広々としたテラスにはデイベッドが置かれています。
ここでコーヒーを飲みながら、ただ森を眺める。鳥のさえずりと川の音だけが聞こえる時間。これぞ、マンダパ・ステイの醍醐味と言えるでしょう。
ダイニング:竹の籠で味わう「Kubu」の魔法

マンダパに宿泊するなら、メインダイニング**「Kubu(クブ)」**でのディナーは必須です。
幻想的な「コクーン」席
「Kubu」とは、インドネシア語で「小屋」や「隠れ家」を意味します。
その名の通り、アユン川のほとりに設置された竹製のコクーン(繭)のようなプライベートシートが特徴です。
夜になるとライトアップされ、川のせせらぎと虫の声がBGMに。これ以上ないほどロマンチックなシチュエーションです。
※コクーン席は数が限られているため、宿泊予約と同時に確保することを強くおすすめします。
地中海×バリのガストロノミー
料理は地中海料理をベースにしたファインダイニング。
地元の新鮮な食材を使いつつ、洗練されたプレゼンテーションで提供されます。
「和牛のカルパッチョ」や「ロブスターのラビオリ」など、一皿一皿が芸術品のよう。ソムリエによるワインペアリングも素晴らしく、バリ島にいることを忘れてしまうほどのクオリティでした。
朝食:Sawah Terraceでライステラスを眺めながら

翌朝の朝食は、アユン川を見下ろす**「Sawah Terrace(サワ・テラス)」**でいただきます。
マンダパの朝食は、基本的にはアラカルト形式(時期によりセミビュッフェ併用)。
メニューにあるものは「好きなものを、好きなだけ」オーダー可能です。
おすすめメニュー
- ナシゴレン・マンダパ:ただのチャーハンではありません。最高級のスパイスとお米を使った、洗練されたナシゴレン。サテー(串焼き)も絶品です。
- エッグベネディクト:スモークサーモンやハムの質が高く、オランデーズソースの濃厚さがたまりません。
- ヘルシーボウル:アサイーボウルやチアシードプリンなど、ウェルネスを意識したメニューも豊富。
- フレッシュジュース:マンゴーやドラゴンフルーツなど、搾りたての南国フルーツジュースは必飲です。
朝霧が晴れていくライステラスを眺めながらいただくコーヒーは、人生で一番美味しい一杯かもしれません。
アクティビティ&施設:心身を整える
聖なるプール
共有のメインプールは、ライステラスとアユン川に挟まれた絶好のロケーション。
水温も適切に管理されており、心地よく泳げます。スタッフがすぐに冷たいお水やタオル、日焼け止めを持ってきてくれるサービスもさすがリッツ・カールトン。
マンダパ・スパ
川沿いにあるスパ施設も外せません。
バリの伝統的なヒーリング手法を取り入れたトリートメントは、深いリラクゼーションへ導いてくれます。施術後は、川を眺めるリラクゼーションルームでハーブティーを。
無料のアクティビティ
ホテル内では、以下のようなアクティビティが用意されています。
- 朝のヨガクラス: 川の音を聞きながらのヨガは格別です。
- ウブド散策: シャトルサービスを利用して、ウブド王宮やモンキーフォレストへも気軽に行けます。
総評:マンダパは「価格以上の価値」があるか?
一泊の宿泊費は決して安くありません。バリ島内の他の高級ホテルと比べても、頭一つ抜けた価格帯です。
しかし、断言します。その価値は十分にあります。
その理由は、豪華な設備だけではありません。
「パティ」をはじめとするスタッフ一人ひとりの、心からのホスピタリティにあります。
すれ違うスタッフ全員が名前を呼んで挨拶し、私たちの好みを把握し、先回りしてサービスを提供する。その距離感が絶妙で、決して押し付けがましくないのです。
【こんな人におすすめ】
- ハネムーナー: 一生の思い出になること間違いなし。
- 多忙な経営者・ビジネスパーソン: デジタルデトックスと完全な休息が必要な方。
- ホテルステイ自体が目的の方: 観光に出かけず、ホテル内で完結する旅を好む方。
【注意点】
- 虫について: 自然の中にあるため、テラスなどに虫が出ることはあります(部屋の中は清潔です)。自然共生型のホテルと理解しましょう。
- 階段: 地形を活かした造りのため、敷地内に坂や階段が多いです(バギー移動が基本なのであまり気になりませんが)。
まとめ:ウブドで見つけた「心の帰る場所」
チェックアウトの日、バギーに乗り込むのがこれほど名残惜しいホテルは久しぶりでした。
マンダパ・ア・リッツ・カールトン・リザーブは、単に「泊まる場所」ではなく、**「心を浄化し、エネルギーをチャージする場所」**でした。
もしあなたが、次の休暇で「本物の癒やし」を求めているのなら、迷わずマンダパを選んでください。そこには、期待を遥かに超える体験が待っています。

コメント